ヘッダー
NRS ニッサンラリーサービス コンセプト ヒストリー 会社概要 取引規約 お問い合わせ

ドライビングの基礎として、ポジションに続いて、大切な操作としてステアリング・ワークがあげられます。ステアリング・ワークの適切かつ素早い操作の基礎となるのが、第1回でお話したドライビング・ポジションで、この2つの関係は切り離せない関係なので、説明が多少前回と重複する部分が出てくると思いますが、最後まで読んで操作を熟知していただければ嬉しく思います。

前回ボクのドライビング・ポジションは、皆さんの想像より、かなりステアリングが近いクラウチィング・スタイルとお話しましたが、より正確に言えば、切り込み量が多く、適切かつ素早い操作を必要とする「国内ラリー」の場合は、とただし書きが付きます。これとは別に、ステアリングの切り込み量は少ないが、路面の変化などの外乱に瞬時に反応してステアリングを押さえ込む、通称「インターナショナル・ラリー方式」ドライビング・ポジションがありますが、まずは国内「ナショナル・ラリー方式」から説明しましょう。





「ナショナル・ラリー方式」

1. ステアリングを握る手の位置
ステアリングを握る手の位置は、スポークの皮巻き部分に親指の腹が軽く当たる位置でステアリングに軽く手を添えるのが基本です。しかし、戦闘モードでのドライビングでは、左手は常にステアリングとシフトノブとを往復しますので、必然的にノブに近い左下の8時の位置になることが多くなります。それに伴いまして右片手でステアリングを押える必要が生じ、右手の位置はわずかに上がり、スポークの上で握れる位置に変化します。

2. 右に大きく切り込む場合のステアリング操作
先ず右手を1時の位置に移動して、親指を除く4本の指を主体で握り、右脇と肘を使いステアリングを引きながら切る。このとき左手は元の位置にあり、ステアリング・ホィールは手の中を滑り、右手終了と同時に操作の主導は左手に移り、そのまま左手でステアリング・ホィールを押し込むようなイメージで1時の位置まで切る。このときも先の操作時同様に、右手の中でステアリング・ホイールは滑っていますが、これら手を滑らしているときも、グラベル走行時には予期しない外乱に備えて、滑らしている側の手にも意識を残すことは肝要です。これでステアリング・ホィールは、300°切れたことになります。また、もしもの操作でステアリングを切り足したいときは、ステアリングの握りを4本の指の先だけで、更に30°切り込むことが可能です。このために国内ラリーではパーソナル握り(注1)のステアリングを使うことが多いのです。

(注1)ナルディに代表される、若干細身で断面が縦長の握りを最初に採用したのがパーソナル故、断面が縦長の握りをパーソナル握りという。
戻しは、切り込みの逆の操作となりますが、基本的には常に片手半での操作なので、滑らせている手にも意識を残してください。また、切り込み量が少ない時は当然そのまま両手で切り込む場合もあり、これが左に少量の場合は、左手を基本位置に戻してからの操作となり、シーンに合わせた臨機応変な操作が必要です。




「インターナショナル・ラリー方式」

1. ステアリングを握る手の位置
ステアリングを握る手の位置は、ステアリングの左右スポークとセンター・スポークとの間7時25分を、左右の脇を締め握る。従ってドライビング・ポジションは1ノッチ後、もしくはシートバックを1ノッチ寝かせる必要があります。
ポジションが後ろになったことや寝たことによって、ゆったりとしたドライビング・ポジションとなります。また、左手とシフトとの関係や右手とアームレスト(当然ないクルマも多い)との関係も良く、普段でも使い易いステアリング操作法ともいえます。

2. 右に大きく切り込む場合のステアリング操作
手の位置はそのまま、左手を7時から1時まで切り込む(ステアリング・ホィールの操作は指も使いますが、手のひらで押し込むイメージです)、この時ほぼ同時に右手を1時位置まで移動させて、左手の操作に引き続き、右手で5時の位置まで引き込む。これで300°切れたことになります。更なる切り足しはそのまま、小指を除いた指を使って切り込めば、更に60°程は切り足しが可能です。
この時にシート・ポジションが近かったり、高かったりするとフルハーネス・シートベルトのバックルやレバーに、グローブが引っかかり、シートベルトが外れる場合もありますので注意(グローブやシートベルトの選択も要考慮)が必要です。


これら2種のステアリング捌きをよく理解すると、最初のステアリング・ポジションと最初の操作が異なるだけで操作は一緒です。それなのに何故「ナショナル・ラリー方式」や「インターナショナル・ラリー方式」と呼ばれるかと言うと、1つは日本の鋸が引いてモノを切り、外国のノコは押してモノを切ることからと、かの木全巌氏が著書のドライビング・テクニック本で後者を紹介し、その時期が、サザンクロスラリーで三菱チームが活躍した時期であったことから、海外ラリーはステアリングを押して切るが浸透し、このような表現になったと伝え聞いてます。

しかし、最近のWRCの車載ビデオやCDを見ますと、ドライビング・ポジションのステアリング・ホィールとの距離はだいぶ近くなっており、これは競技内容の変化、Group-Aカーのシフト・ワーク環境やシートの取り付け方の変化が影響しています。

これは、ドライビングはコース、クルマ、競技形態に異なるということですから、ボクのドライビング・スタイルを参考に自分のドライビング・ポジションやステアリング・ワークをあみ出していただければ良いと思います。


第3回をお楽しみに!!